人間の組織

ここでは『ガイアケアTRPG』の世界に存在する勢力の中でも、人間を主体とする組織を紹介する。

目次

鮫島一家

鮫島一家

神奈川県に本部を置く博徒系暴力団。
1980年代に鮫島勘右衛門が神奈川県空崎市からさきしで結成した。

活動内容

収入源シノギトラブル解決ケツモチ、風俗店経営、飲食店経営、地下格闘技主催など多岐にわたる。

補遺

組長の鮫島をはじめ、義理人情を大事にする侠客が多く所属している。地域の祭や催事ではトラブル防止に奔走し、地域からの信頼を得ているため、警察の対応が困難な事件などでは一般市民から頼られることもあるようだ。
行き場のない融人の受け皿を担い、空崎市の治安維持に貢献している。空崎市では、融人の存在を受け入れる住人が多い。

主な構成員

鮫島一家 組長

鮫島さめじま 勘右衛門かんえもん

鮫島一家の組長にして昔気質むかしかたぎ侠客きょうかく

70代後半の人間の男性。仕立ての良いスーツに身を包み、高齢を思わせない風格を持つ。

昔気質の極道を重んじる侠客であり、義理と人情を最優先に行動する。法よりも仁義を重んじ、筋を通さない者には容赦しない。

孤児であった鮫島は、戦後の不安定な時代を孤独に過ごした。養護施設の仲間たちが残留兵による理不尽な暴力に晒される様子を見た鮫島は、「国政では身近なものを守れない」という結論に至る。それからは、孤児院の男たちを集めて自警団を組織し、自治体警察に代わって治世に奮闘していた。
引揚者や米兵への暴行などで二度の服役を経て、当時の闇市の元締めに腕を買われ極道の世界に足を踏み入れる。

鮫島には妻と6人の愛人がいる。本妻の鮫島文子ふみこは、孤児院で下級生の世話役をしていた幼馴染で、学生の頃より鮫島から交際の申し出をかわし続けていた。成人したのちに、孤児院の仲間たち全員を養うことを条件に結婚を承諾。6人の女は愛人として囲い、8人の男はフロント企業の役員に置いて、それぞれの生活を支えている。
子どもは9人いるが、1人の例外を除いて全員がカタギ(反社会組織に属さない一般人)のようだ。子どもたちも父の気質をよく理解しており、年の瀬には家族全員が集まるほど慕われている。

頑迷とも言える一本気さで、一度決めると梃子でも動かない。鮫島の決断を覆すことができるのは、彼の妻と若頭のみとされているが、孫の"お願い"であれば無条件で承認されるようだ。

鮫島一家 若頭

石動いするぎ 哲司てつじ

鮫島一家の実務を取り仕切る、厳しくも情に厚い若頭。

40代後半の人間の男性。頭部側面から頬にかけて、桜吹雪の和彫りを覗かせている。

鮫島一家の中で、鮫島の気質を最も濃く引き継いでおり、情に厚く、仁義を重んじる。鮫島よりも厳格で伝統を重んじるため、組の規律に反した者や年上への敬意を欠いた者を厳しく指導している。
組の運営を実務面で取り仕切っており、名実ともに鮫島一家のNo.2である。

石動は「経営者」と「裏社会の顔」の二役をこなしている。
表向きに見える役割は、4社のフロント企業の経営と、警察関係者や政治家との交渉などに出向くことだ。もしも一般人が何かしらの理由で鮫島一家と関わることになり、組織の中枢にまで足を踏み入れてしまった場合は、必ず彼と対面することになるだろう。

UNISON発足当初、未登録融人による半グレ集団が乱立し、暴力団対半グレ融人の大規模抗争が起きた際、他団体と連携して平定の立役者となった。この一件以降、他の暴力団構成員からも信頼が厚く、半グレの未登録融人にも顔が広い。妻の君佳きみかは、石動の行きつけだったスナックの看板娘であった。君佳から交際を申し込まれ、押し切られる形で結婚するに至る。君佳は困っている者を放っておけない性分で、行き場のない融人をひっきりなしに世話を焼くため、哲司は常にそれらの対応や後始末に追われている。君佳が引き取った融人の中で、哲司が特に気に入った者は盃を交わすこともあるようだ。もし、社会からはみ出した融人が空崎に流れ着いたのなら、鮫島一家の若頭を頼りにするといいだろう。

鮫島一家 舎弟頭

屏風びょうぶ 秀虎ひでとら

鮫島一家の若手組員を一手に束ねる舎弟頭。
仲間思いなアムールトラの亜獣。

外見年齢は30代前半だが、実年齢は18歳の男性。整髪料でしっかりと撫でつけた黒髪オールバックで、派手な服装を好む。

孤高で用心深く、群れるのを嫌う。ただし、仲間と認識した存在には強い執着を持っており、彼の仲間に敵対する者がいた場合は、徹底的に攻撃する。

屏風の原種は2000年初頭に日本に密輸入されたアムールトラである。彼を輸送していたトラックが横転事故を起こした際に、檻が破壊されたことで脱走した。山林をあてもなく彷徨った彼は、後に石動の妻となる君佳の故郷に出没し、全国ニュースになる大騒ぎとなった。
猟銃を持った地元住民に追い詰められ、食料にもありつけず力尽きかけていたところ、当時まだ小学生だった君佳に遭遇し、食料を分け与えられたことで命を救われる。直後に亜獣化し、君佳によって屏風秀虎と名を与えられた彼は、君佳の生家に下宿し働きながら、兄妹のように育てられた。君佳が上京する際は用心棒として付き従い、今日に至るまで君佳を支え続けている。
君佳が石動と交際する過程で、石動と屏風の間には大変な諍いがあったが、その結末を知るのは鮫島とその本妻の文子だけである。現在では、屏風は石動を兄のように慕っており、鮫島一家の舎弟頭として剛腕をふるっている。

対融人戦闘のスペシャリストであり、特に強大な力を持った融人事件の対処にあたる場合は、融人保護官と遭遇することもあるようだ。協力体制を敷くことができるかどうかは、彼との相性によるだろう。過去に融人保護官の鴇沢宗光・幌上銀と討伐対象が重なった際は、幌上らと数時間にわたる戦闘が発生した。

鮫島一家 構成員

赤隈あかくま 八介やすけ

鮫島一家を支える若き構成員。仲間思いで一本気なニホンアナグマの亜獣。

外見年齢は20代半ばだが、実年齢は5歳の男性。くたびれたスカジャンを常に羽織り、金髪コーンロウの目立つ風貌をしている。

頭が悪く、そして頭が悪い。石動の妻である君佳が世話を焼いた融人の一人であり、騙されやすく忘れっぽく要領も悪いが働きもので、いつも石動の頭を悩ませている。深い思考力を持たない反面、実直で継続力に秀でており、組員、または状況に応じて味方と判断した者を守るという一点に迷いが無い。
赤隈の原種は都市部の緑地で生まれ育ったニホンアナグマである。赤隈のいた群れは30頭以上で巣穴を共有していた。彼らは縄張り争いを避け、役割を分担しながら小さな社会を築いた。通常、ニホンアナグマの巣穴の共有は2~3の家族で行う程度だと考えられていたため、当時の動物学者に衝撃を与え、長らく研究対象となっていた。

研究者たちの目の前で融人化した赤隈はすぐに捕獲され、亜獣の生態を解明するための実験体として扱われる。特殊な行動を取っていた動物が融人化したことで、赤隈の存在が融人化のプロセスを解き明かす鍵となると考えられたためだ。しかし融人となった赤隈に突出した知能や能力が特に無かったため、実験は次第に意義を失い、赤隈は研究所から追い出されることとなる。
UNISONによる支援プログラムを受けることができず、人間社会への理解が乏しいまま野に放り出された赤隈は、空崎で略奪を繰り返しながら食いつなぐしかなかった。とある日、若頭の妻である君佳を襲った赤隈は、側に控えていた屏風に返り討ちに合う。事情を知った君佳の要望で鮫島一家の構成員となり、以降は屏風を「アニキ」と呼び慕う。赤隈は片時も屏風の傍を離れず、強く拒否されない限りはトイレの個室にさえも付いていくだろう。

鮫島一家 構成員

蜷川にながわ みつる

鮫島一家の構成員にして、鮫島 勘右衛門の庶子。父を狂信する狡猾なニホンマムシの亜獣。

外見年齢、実年齢共に10代後半の少年。綺麗にスタイリングされた癖毛が印象的で、高価なオーダースーツに着られている。

力よりも知略、仁義よりも結果を重んじる。表面上は人当たりがよく、柔和な表情は人懐こい印象を与えるが、内心は狡猾で他者を利害でしか見てない。
父である鮫島 勘右衛門を崇拝しており、父に褒められるためには手段を選ばない。

蜷川は、鮫島が抱える6人の愛人を母に持つ婚外子である。異母兄弟の中では末っ子だった蜷川は、組員たちに可愛がられ、甘やかされて育った。学校でも、鮫島の子どもとなれば生徒や教師でさえも畏れ、敬う。未発達の子どもが全能感を覚えるのには十分な環境だっただろう。蜷川にとって、唯一上手くいかなかったことは、鮫島の愛情を独り占めできなかったことだ。多忙である鮫島と会えるのは年に一度しかなく、鮫島の愛情は妻と6人の愛人、全ての組員と、全ての子どもたちに平等に向けられていた。山よりも高い自尊心を持つ蜷川は、それを許容することができなかった。鮫島の愛情を独占しようとする内に、蜷川の執着は崇拝の域に達してしまう。

蜷川は隔世遺伝型と呼ばれるニホンマムシの融人である。鮫島の祖先には融人が混じっていないことが分かっているため、母方の祖先が融人であったと推察できる。人にしてピット器官を持つ蜷川は、夜を生きる裏社会の人間に相応しい人材だろう。

基本的には仁義に厚く、弱きを助ける鮫島一家の中で、唯一関わってはならないのが蜷川だ。蜷川は他の兄弟の排除を目論み、あらゆる手段を講じる可能性がある。蜷川に目を付けられた者は、いつのまにか鮫島の子どもたちを貶める策略の片棒を担がされてしまうかもしれない。