世界観 - 融人
ここでは、ルールブックとは別に『ガイアケアTRPG』の世界観を説明していく。
『ガイアケアTRPG』についてより深く知りたい場合は参考となるだろう。
まずは融人について紹介しよう。
融人 / Harmonia
人間社会に融け込んだもの。人間社会と調和したもの。
ここでは、ルールブックとは別に『ガイアケアTRPG』の世界観を説明していく。
『ガイアケアTRPG』についてより深く知りたい場合は参考となるだろう。
まずは融人について紹介しよう。
人間社会に融け込んだもの。人間社会と調和したもの。
動植物、人工物や無機物、あるいは超常的な存在が完全な人間の姿かたちに変貌したもの。
一般人が彼らの存在に気づくことは難しい。
融人の多くは人間として生きていくことを望み、人間社会に融け込んでいるためだ。
近年、融人をめぐるトラブルが様々な形で表出し、人類はついに融人の存在を認知した。
融人が人間に変貌する前の姿を原種と呼ぶ。
融人は原種によって以下の3種に分類される。
以上の3種を総称し、人の姿に変貌した人ならざるものは融人/Harmoniaと呼ぶ。
原種が明らかになっている融人のうち、最も多いのは亜獣で、これは全融人の大半を占めている。
付喪は亜獣に比べ数が少なく、越境者に至っては非常に珍しい存在であると言えるだろう。
融人が生まれる過程や原因について、現在わかっていることはほとんどない。
融人となった時期や場所、要因と思しきエピソードは各個体において様々であり、全ての個体に共通する一定の法則性すら見いだせていないのが現状である。
融人研究の第一人者であるスウェーデンの生物学者ウルフ・ウィルヘルム・ソーンは、2010年に北京で開かれた北京フォーラム出席メンバーとの非公式会見で「融人の出現は、人類にとってある種の淘汰圧であると言えるかもしれない」という見解を示したが、それ以降、融人の由来については一切の言及を避けている。
融人は原種の特徴を心身に残しており、それらは常人より優れた能力として備わっている。TIPSゲーム上は融化がそれにあたる。
イヌの亜獣は嗅覚に優れ、ウグイスの亜獣は歌を通して多くの人の注目を集める。
石の付喪は頑健であり、コンピューターの付喪は演算能力に長けているだろう。
これらの能力は、人間が持ちうる力からそれほど離れてはおらず、あくまでも長所の範囲に収まる程度のものだ。
原種の特徴をどの程度人間社会で利用するかは、それぞれの個体によって大きく異なる。
自身が融人であると明かし、その能力を公然と行使している者もいれば、慎重にその出自や特徴を隠している者もいる。
いずれにせよ、融人たちは各々の能力を活かしながら、うまく人間社会に溶け込み暮らしている。
融人が
人間の能力を超えて「原種」の特徴を使用
TIPS
ゲーム上は〈オリジン〉がそれにあたる。
したいのなら、人間としての姿を一時的に手放さなくてはならない。
例えばワシの亜獣が空を飛ぶためには背中に翼を生やさなくてはならず、テッポウエビの亜獣が衝撃波を発生させるためには手を巨大な鋏に変形させる必要がある。
これらの大きな変貌を伴う能力は、一日に数回使用する程度であれば再び人間の姿に戻ることが可能だ。
しかし 変貌に伴う原種の力の浸食は少しずつ進行していく。 TIPS ゲーム上は共鳴レベルの上昇で表される。 力の行使などにより 浸食が閾値を超えてしまった場合、 TIPS ゲーム上は【逸脱】で表される。 融人は完全に原種の姿へと戻り、人の姿であった頃の意識や記憶も失われてしまう。
なお、ごく僅かながら原種の力に浸食された後もヒトと原種がいびつに入り交じった異形の姿のまま生きながらえるケースが確認されている。
この場合、人間としても原種としても人間社会で暮らしていくことは非常に難しいだろう。
そのような姿になってしまった融人は往々にして奇異の目に晒され、ひどい差別を受けることになる。異形と化した融人たちは、一生を人目につかない場所で過ごすか、融人への偏見が少ない特定の地域で暮らすか、あるいは反社会的な融人組織に保護を求めるかなどの選択を迫られるかもしれない。
ルールブックの「融人共鳴者の【逸脱】によるロスト」には、"逸脱した融人は原種の姿に戻り、人としての意識や記憶を失い、融人化する以前の状態になる。"と書かれている。
しかし、これは逸脱した状態の融人を敵として登場させたり、シナリオで創作された
特別なロスト方法
TIPS
例えば、記憶を失わずに原種に戻るなど。
を否定するものではない。
ここに例示したような形や、あるいは別の方法で、逸脱した融人をシナリオに登場させてもよいだろう。
人間の姿に変貌した動植物を指す。
亜獣は原種の生物的特徴を有している。
亜獣の性格は原種を想起させるような傾向があり、イヌの亜獣は忠義に篤く、ネコの亜獣は気まぐれなどと言われている。
もっともこれらには多くの例外が確認されており、実際は融人となる以前の個体が持つ性質や育った環境などに依存するだろう。
人に飼われていたペットが亜獣になる……というケースは都市部でよく見られる。
そういった個体は人間社会へ溶け込むためのサポートを受けやすく、人間社会に慣れているため、対人関係でも苦労することは少ないようだ。
逆に、山奥に棲む野生動物が亜獣となった場合、人里に降りてくる可能性はあまり高くない。
人の姿となった後も群れに混じって暮らし続け、人間社会と関わることなくひっそりと生涯を終えることもあるだろう。
彼らの中でたまたま人間と遭遇したものが、野人や山童などと呼ばれ民話や伝説に語られているのかもしれない。
亜獣化した際の外見年齢は、個体の実年齢ではなく「
原種の寿命を人間の寿命に換算したもの
TIPS
原種の成長段階に合わせた外見年齢になる。寿命の異なる生物でも成長段階に合わせた人間の外見年齢になるようだ。
」になるケースが多い。
例えば、生後1年のネコの亜獣と生後40年のニシオンデンザメTIPS寿命が400年を超えるとみられているサメ。の亜獣は共に中学生として学業に励んでいるが、生後3年のオオカミの亜獣は民間警備会社で中間管理職を務めている。
もっとも、これにはいくつかの例外が確認されており、実際の年齢は本人すらも把握していない場合があるだろう。
亜獣は、融人の中で最も特に多様性に富んだ生活を送っているようだ。
彼らは「人間に友好的な者」と「人間に敵対的な者」に大きく二分される。
人間に友好的な亜獣の多くは上手く社会に溶け込み暮らしている。
各々の特徴や能力を活かして日々を生きる亜獣たちは、融人だと明かさない限り、人間とさして変わるところはないだろう。
人間に友好的であっても、原種の特徴や性質によって社会性に乏しい者もいる。
そのような者は、人里離れた土地で密やかに暮らす、あるいは似た性質の者たちと寄り集まり小規模な共同体を形成して暮らしているようだ。
人間に敵対的な亜獣は、亜獣化して早々に何らかの事件を起こすことが多い。事件を起こした亜獣は、各国の警察機関や軍隊、融人保護官などに捕獲、あるいは討伐されてしまうだろう。
敵対的な亜獣の中でもひときわ知能が高い者や、原種が社会を構築する動物である場合などは、単独行動を避けて仲間を集め、犯罪組織を結成する場合がある。統制された亜獣の組織が社会に牙をむいたとき、人間にとって大きな脅威となるだろう。
亜獣の多くは人間社会に溶け込み、能力を隠しながら過ごしているが、中にはその能力を善行・悪行問わず積極的に使用している者もいる。
とあるウグイスの亜獣は、正体不明の歌手としてインターネット上で強い支持を集めている。短距離選手として名を馳せていたとある選手が五輪を出場停止になったのは、彼がチーターの亜獣であることが発覚したためだ。
人間の姿を得た人工物、あるいは無機物を指す。
付喪は原種の機能的特徴、または成分や構造などを想起させる能力を持っている。
亜獣と同様に、大多数の付喪の能力も人間の能力の範囲での長所に収まるが、原種である道具や物質の機能に特化した専門的な才能として現れることが多い。
例えば2010年に製造された電波時計の付喪は、正確に時間を計測する能力を有し、2020年に製造された家庭用コンピュータの付喪が披露した計算能力は常人離れしていた。
知識においては、「1900年代にアメリカ大統領が隕石の付喪と非公式対談を行い、太陽系外の赤色矮星に関する情報提供を受けていた」ことが判明しているなど、人類の知識や理解を超えるものを有していたケースが確認されている。
付喪という名称は、日本の伝承にある付喪神を元としているが、あくまでも概念の近い名称をあてがわれただけに過ぎない。日本における付喪神の伝承では『長年使われた道具に霊が宿る』『捨てられた物に宿った古い歳神が妖怪化する』などとされるが、実際の付喪には共通した特徴は見られなかった。
現在までに確認されている付喪の原種の例として、長らく倉庫に仕舞いこまれていた置時計、中年男性の私室に並べられた美少女型フィギュア、非行少年の所有する中古のバイク、山などが挙げられる。
付喪神に代表される"物に霊性が宿り動き出す"という概念は日本特有のものではなく、ピュグマリオンの彫像やゴーレムなど、数こそ多くないものの様々な神話・伝承が各地に残っている。このため一部の研究者は「これらも付喪だったのではないか」と主張しているようだ。
多くの付喪は人工物を原種に持つ。
融人化する以前から人間との関わりが深かった場合、積極的に人間社会に融け込もうとするものが多い。
しかし融人化したばかりの付喪は人間の心の機微を理解できず、周囲と軋轢を生むケースが多く見受けられる。
暗黙の了解と呼ばれるものが理解できなかったり、慣用句や比喩表現を言葉通りに受け取るなどして小規模なトラブルが起こることもあるようだ。
例えば書面で取り交わされていない依頼を全て拒否したり、上司から「同僚によく釘を刺しておけ」と言われた付喪が傷害事件を起こしたケースも確認されている。
なお、服飾品など人間が身につける物を原種に持つ付喪は、比較的社会性が高い傾向がある。
そのような付喪の場合、会話や仕草などから正体を見抜くことは非常に困難だ。
付喪は他の融人よりも人間社会に融け込もうとする積極性が見られる。
社会への奉仕的な考えを持ち、能力を自ら開示する個体が多いようだ。
とある化粧道具の付喪は、融人化してすぐにスタイリストとしての雇用を望み、芸能事務所やサロンでその能力をいかんなく発揮している。
高機能電卓の付喪が競技プログラミング大会に優勝した後に正体が発覚し、受賞は取り消されたものの、運営事務局にスカウトされた例などもあった。
このように人間社会と調和するのは、付喪の能力が"機能"に近く、社会での役割が分かりやすいためだろう。
超自然的な存在が人間の姿に変貌したもの、あるいは超常的な力を得た亜獣や付喪を指す。
越境者に一貫した特徴というものは見いだせない。いわば、分類不可能な融人――それが越境者と言えるだろう。
越境者の多くは他の融人と違い、原種の頃から超常的な能力を有している。
例えばキツネの亜獣は優れた能力により、音の方向や距離を性格に把握する能力に秀でているが、これは原種であるキツネが持つ生物的特性にすぎない。 しかしとあるキツネの越境者は洗脳や魅了、遠隔地からの毒殺など、超常的な能力の行使が可能であったと判明している。
越境者であっても、肉体的な頑健さなどは原種の性質に大きく左右される。しかし、越境者は亜獣や付喪が持たない
超自然的な能力
TIPS
原種の動植物や、人工物や無機物に備わっていない不思議な力。
を有している。
このような能力を有した越境者は、伝承や民話などによりその存在を人間に認知されていることがある。
先の例に挙げたキツネの越境者は、政府要人などに取り入り暗躍し、時の為政者を操り人民に圧政を強いた『妲己』の名で歴史に残っている。
他にも、火を纏うネコの越境者は『火車』として奇異雑談集に記され、コウモリの越境者である『ヴァンパイア』は世界的に有名な怪物として名を知られている。
各地で語り継がれている天使や悪魔、精霊や神が実在したのなら、それらも何らかの越境者かもしれない。
越境者の多くは長寿や不老であり、原種の頃から人語を解するものも多いため、人間社会に対しての理解が深い傾向にある。
この特性は、そのまま彼らの潜在的な危険性を表していると言えるだろう。
越境者が人間社会に害をなした場合、他の融人と比べて影響範囲が広く深刻な事件となる可能性が高い。
原種の頃から人間に敵対的な個体は、融人化により更に脅威的な存在になったと言えるだろう。
外見で判別できなくなったことで、社会に溶け込み暗躍できるようになったためだ。
先の例に挙げた妲己や玉藻前のように、政府中枢に入り込み人間に害をなしたものや、迷信深い地では今も恐れられている人狼、信心深い人間の元を訪れては堕落した悦びで誘惑する黒犬の越境者など枚挙に暇がない。
しかし、越境者の全てが人間に敵対的というわけではない。
友好的な越境者の多くは、その正体を完全に秘匿しながら人間社会に溶け込んでいる。
とある牛の越境者は、予知能力を用いて未来に起きる戦争や災害などの危機を人々に伝え続けている。現代では拡散力のあるインターネットを利用する場合が多いようだが、あまり信用されていないのが悩みのようだ。
また例外的に、その特異な能力と正体を明かして人間社会に大きな影響を与えている越境者も存在するようだ。
日本の政府中枢には、通信インフラが途絶えた際の伝令と緊急時の避難誘導を担う、強力な探知能力と通信能力を有するカラスの越境者たちが在籍しているとされる。
古代エジプトでは変形能力を有する石灰岩の越境者が王家の墓守を務めたが、盗賊や侵略者との度重なる戦闘の末に石像となってしまったという伝承が残されている。